中学受験では、社会は点数も取りやすいので、確実に点を稼ぎたいところ!その中でも、特に時事問題は生活に密着しています。そこで今回取り上げるのは、2024年に新デザインに変更になる紙幣。特にお金は日常的に利用するもので、子供も身近なもの。約20年ぶりに変更する理由・ポイントをなど出題ポイントとしてまとめました。
※2024年上期に約20年ぶりにデザインが刷新。紙幣では世界初の3Dホログラム技術なども追加される予定との事。
目次
- なぜ、デザインを変更する必要があるのか?
- 変更ポイントは?
- デザイン 表面の肖像/数字の大きさ
- 偽造防止対策の強化
- 新紙幣の肖像人物になった理由?また何をした人?
- 1万円札 :渋沢栄一(近代日本経済の父)
- 5千円札 :津田梅子(日本の女子教育家)
- 千円札 :北里柴三郎(近代日本医学の父)
- 今後の紙幣や硬貨の需要について
- 現状のキャッシュレス決済と現金支払いの状況
- コロナを機にキャッシュレス決済が急速拡大し、紙幣や硬貨を使用する機会が減っている?
- 紙幣や貨幣の製造状況
- 流通額は上昇?使用機会も製造も増加しているのになぜ
- 10年後、30年後 紙幣や硬貨はどうなるのか?
- 現状のキャッシュレス決済と現金支払いの状況
- 実際の出題内容 一例
偽造されたお金が出回らないようにする事が最大の理由
みんながお金を安心して使うために、これまで20年毎に紙幣の偽造防止技術やデザインを新しくすることを行っています。
さらにプラスαの理由
(1)現在、出回っている紙幣が発行されてから20年経過し、印刷技術が大幅な進歩を遂げている為
(2)目の不自由な人や外国人などみんなにやさしいデザインが世界的な流れになっている為
引用元:財務相 よくあるご質問 通貨
なぜ紙幣や貨幣のデザインを変えるのですか https://www.mof.go.jp/faq/currency/07ao.htm
2-1.デザインの変更箇所は?
大きな変更点として1つ目は「デザイン」
(1)表面の肖像:1万円札は40年ぶり、5千円札・千円札は20年ぶりの変更
(2)数字の大きさ:今よりも大きくし目立たせ、色味もそれぞれ変えています。
※実際のイメージ画像
新1万円札のデザイン
- 表面:渋沢栄一(しぶさわ えいいち)
- 裏面:「赤レンガ駅舎」として親しまれた歴史的建造物の東京駅
- 色味:ベースが茶色
- その他:金額の数字が大きくなり見やすく
新5千円札のデザイン
- 表面:津田梅子(つだ うめこ)
- 裏面:花の「フジ(藤)」
- 色味:ベースが紫色
- その他:金額の数字が大きくなり見やすく
新千円札のデザイン
- 表面:北里柴三郎(きたさと しばさぶろう)
- 裏面:江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の代表作で知名度も高く、世界の芸術家に影響を 与えた「富嶽三十六景(神奈川沖浪裏)」
- 色味:ベースが青色
- その他:金額の数字が大きくなり見やすく
2-2.偽造防止対策の強化
ご存じの方も多いかと思いますが、日本のお札の偽札防止技術は世界最高水準といわれており、今回の刷新では新たに 偽造防止対策技術-が2つ採用されるとのことです。
この技術は現行のお札にも取り入れられていますが、新たに高精細なすき入れ模様を採用することで、肖像の周囲に、緻密で明暗がはっきりした図柄が施されています。
ストライプ型のホログラムを新たに採用しました。3Dで表現された肖像が回転する最先端技術を用いていて、この技術の銀行券への採用は世界初とのこと。
今回の新紙幣の肖像に選ばれた3人は、明治以降に活躍した文化人で、下記の2点をクリアした人。
(1)日本国民が世界に誇れる人物で、教科書に載っているなど、一般によく知られていること。
(2)偽造防止の目的から、なるべく精密な人物像の写真や絵画を入手できる人物であること。
では、実際にどのようなことをした人なのか見ていきましょう。
3-1.1万円札 :渋沢栄一(近代日本経済の父)
2021年大河ドラマ 「青天を衝け」の主人公として描かれたことで、知った人も多いのではないでしょうか?実は、よく調べると明治以降に今の私たちの社会の基盤を作ったと言っても大げさではないほど、様々な企業や公共事業に携わっているすごい人です。
主な功績 | 具体的にどんなことをしたのか |
日本初の銀行の開業に携わる | 第一国立銀行(現在のみずほ銀行)の総監役(のちに頭取)となり、民間人として経済による近代的な国づくりを目指しました。 |
様々な企業の設立に携わる | 銀行を拠点に企業の創設・育成に力を入れて生涯に約500もの企業に関わり、約600の社会公共事業・教育機関の支援や民間外交に尽力しました。 (一例:銀行/東京証券取引所/富岡製糸場/王子製紙/東京ガス/一橋大学…) |
出典元:深谷市
https://www.city.fukaya.saitama.jp/shibusawa_eiichi/index.html
3-2.5千円札 :津田梅子(日本の女子教育家)
今でさえ女性の大学進学は普通になりつつありますが、明治時代などで女性が高等教育を受ける機会はほとんどなく、自立にはほど遠い状況。その頃アメリカに留学し、帰国した後にアメリカとのギャップに驚き、女子教育の重要性を感じた梅子さんは、その後日本の女性の地位向上に尽力しました。
今も世界の中では、女性の地位が低いと言われている日本ですが、もし梅子さんの働きがなければどうなっていたのでしょうか。
主な功績 | 具体的にどんなことをしたのか |
日本の女子教育の先駆者に | 華族や平民の区別なく、学ぶ意欲のあるすべての女性に向けて、女子英学塾を開きました。 |
「日本婦人米国奨学金制度」を設立 | 学びたくても学べない環境にいる女性を支援するため、ブリンマー大学在学中に「奨学金制度」の設立し、実際に25名の女性が留学の夢をかなえました。 |
※補足※
2022年7月に報じられたジェンダーギャップ指数(男女格差を示す値)において、日本は世界146カ国中116位。
主要7カ国(G7)の最下位であるばかりでなく、今でも世界的に見てジェンダー後進国と認めざるを得ない状況です。
引用元:内閣府
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2022/202208/202208_07.html
3-3.千円札 :北里柴三郎(近代日本医学の父)
偉人で有名なお医者さんといえば、現在の千円札の肖像となっている「野口英世」と答える人が大多数かと思います。実は、北里柴三郎さんも日本を代表するお医者さん。「病気を未然に防ぐことが医者の使命」という予防医学への思いで、研究を重ね日本で初めてのノーベル賞候補者に。しかし、受賞を逃しました。ただその功績は日本だけでなく海外でも認められ、予防医学の礎を築いたといえます。
主な功績 | 具体的にどんなことをしたのか |
国内外の感染予防と治療に貢献 | 多くの人を破傷風(はしょうふう)の恐怖から救いました。 | 破傷風(はしょうふう) を予防・治療する方法を開発した細菌学者。
北里研究所を設立や慶應義塾大学医学部を創設 | 日本の公衆衛生特に結核の予防のほか、医学、医学教育の発展に大きな足跡をのこした |
引用元:北里大学北里研究所病院
https://www.kitasato-u.ac.jp/hokken-hp/special/dna/
4-1.現状のキャッシュレス決済と現金支払いの状況
コロナを機にキャッシュレス決済が急速拡大し、紙幣や硬貨を使用する機会が減っている?のか調べたところ・・・答えはYES!2021年時点でキャッシュレス決済比率は、32.5%という結果に。今現在は更にこの数値は上昇していると考えられます。 (内訳:クレジットカードが27.7%、電子マネーが2.0%、コード決済が1.8%)
2019年から2022年の2年間で「よく利用している」と回答した人は、54.2%から64%に増加。特に、バーコードやQRコード決済の利用が大幅に増加した事がわかります。私自身も、ほぼ現金は持たず、PayPayでの決済が最も多く、他シーンによってクレジットや交通系電子マネーなどを利用しています。
出展元:消費者庁 キャッシュレス決済の動向整理 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/meeting_materials/assets/internet_committee_221021_02.pdf
4-2.紙幣や貨幣の製造状況
現金が使われなくなっているという事は、製造自体減少しているという事なのでしょうか?2023年度の貨幣製造計画によると下記の様な結果に。
・紙幣 1千円~1万円の3種類の製造枚数は計30.3億枚。
・貨幣 1円玉から500円玉までの6種類の製造枚数は計5億8,600万枚。(高度成長期以降で最少を更新する見通し)
紙幣に関しては、この20年間大きな変動はありませんでした。逆に、貨幣はキャッシュレス化の波もあり減少を続け2023年度計画では、高度成長期の数値の約半分程度にまでになる予定とのこと。
4-3.現金流通高は120兆円で約20年前の2倍に上昇。使用機会も製造も増加しているのになぜ
データーで確認したところ、なんと驚きの事実が。実は、市場に出回っている現金の流通高が増加をたどっているとの事。とくに1万円の量が増加。大きな要因は、低金利等によって自宅などでの貯蔵が促される「高額紙幣・五百円玉の増加」したことによるもの。
財務省が行った令和3年度の「通貨に関する実態調査」の「自宅に現金を保有する理由」について
1位 銀行で預金を降ろすのに手間・手数料がかかる | |
2位 緊急時に使えない可能性(地震などの災害時) | |
3位 手元にあると安心 | |
4位 急な出費の備え・へそくり | |
5位 銀行へ預けても利子がつかないから |
4-4.10年後、30年後 紙幣や硬貨はどうなるのか?
今現在、現金での支払いやタンス預金などしている人の多くが高齢者だと考えられます。また政府としてもNISAなどへの投資へ回すように啓蒙活動や税の優遇、そしてビットコイン・イーサリアムなどの仮想通貨(暗号資産)も増えてきているので、現金の使用や流通高が今よりも減少するでしょう。ただしまだ10年、20年では無くならないと考えられます。
ただし、100年後の未来はどうでしょうか?一度、ご家庭でお金について話し合うにはいい題材かと思いますので、クイズを出したり、お金の使い方や、お金の未来予測をしてみてはいかがでしょうか?